2006年 02月 01日

ムラサキシジミのことなど

 先週末にムラサキシジミの写真を追加しました。
 昨年の秋から冬にかけて開翅写真の良いのが撮れたので、かなり写真を入れ替えました。
 私のサイトはその種類について掲載してある写真が横3列のサムネイルで一覧できるようにしているのですが、そのため掲載する写真の枚数も基本的に3の倍数になります。
 それで中には出来はまあまあだけど、数がちょうど良くならないので掲載をあきらめた写真もあります。
例えばこの写真がそれです
ムラサキシジミのことなど_f0031682_1684214.jpg
(12/08:ニコンD100,マクロ105,1/640,f11,シャッタースピード優先、中央重点測光)

ピントもばっちりで、最初に種の説明をするページに載せるにはピッタリだと思ったのですが、後の写真を選んでいくと、他の開翅写真もみんなマクロレンズで撮影した、ピントピッタリのカリカリとした感じの写真で、何となく情緒に欠けるような気がしたのでやめました。
代わりに掲載したのがこちらの写真です。
ムラサキシジミのことなど_f0031682_16101556.jpg

(7/14:ニコンD70,AFズーム28-105,1/320,f5.0,プログラムAE,分割測光)

 こちらはマクロモード付きのズームレンズですが、撮影したときは色も良く出ていてお気に入りだったのですが、その後シャープ感にやや欠けるような気がして今回は最初没にしました。
 ただ、全て鱗粉までばっちりの開翅写真の中ではこんなしっとり感のある写真も良いかなと思って最終的にはこちらを掲載することにしました。奥さんのカメラを借りての撮影なので設定は基本のままです。
 昨年はいろいろな産卵シーンが撮れましたが、葉表しかもちょっと古い葉の表面に産卵するものや、葉裏に産卵する写真が撮れたりして、やったー珍しいシーンだと思ったのですが、図鑑にもちゃんと書いてあったのでそれほど珍しいシーンではないようでちょっとがっかりです。
ムラサキシジミのことなど_f0031682_1612079.jpg

(7/14:ニコンD70,AFズーム28-105,1/160,f4.5,プログラムAE,分割測光)

 もともとムラサキシジミは朝鮮半島南部や台湾、それに日本の宮城県以西の、暖帯から亜熱帯の照葉樹林に生息する蝶で、ルーミスよりもよっぽど分布が狭く、世界的にみれば珍しい種類のようですが、私が写真を撮影していた1970年代から80年代にかけては関東ではほとんど見られなくて、岐阜県や鹿児島県、島根県などで撮影したときは結構うれしかった記憶があります。
 それがここにきて関東でも普通に見られるようになってきたのは、昨今話題の温暖化のせいのようです。ムラサキツバメやツマグロヒョウモンの先輩ということでしょうか。
 それに、薪炭を使用しなくなって雑木林の更新が行われなくなり、植物の遷移が進んできたのも関係あるのかなと思ったりしています。

by dandara2 | 2006-02-01 10:48 | Comments(14)
Commented by banyan10 at 2006-02-01 16:42
ずいぶん多くの産卵シーンを撮影していて驚きました。
特にゼフの時期はムラサキシジミがいてもじっくりと観察できていないようで、産卵シーンは目撃もありません。
今年はしっかり観察するようにしたいです。
Commented by chochoensis at 2006-02-01 21:08 x
ダンダラさん、更新した写真館の様々な写真、素晴らしいですね。雄雌、吸水、越冬、産卵シーンなど、完璧に揃っているので、見ごたえ十分でビックリしました。生態写真かくあるべき姿だと感心いたしました。経験量も含めて他の追従を許さない出来栄えで改めて感服です・・・。見習うようにしなければ・・・。
Commented by kenken at 2006-02-01 22:46 x
こまめな本体HPの写真更新・・・頭が下がります。
改めて、ダンダラさんの撮影経験の豊富さを物語る写真群に感動しました。
ムラサキシジミ、休眠明けの個体は結構吸蜜に訪花するんですよね。
以前から拝見しておりますが、吸蜜画像が私好みです。
Commented by ダンダラ at 2006-02-01 23:20 x
banyanさん、産卵シーンのかなりの部分は1頭の♀が見せてくれたものです。
日曜は遠出する事が多いのですが、土用とかあるいは週一日の午前中で授業が終わる日は近場を歩くので、そんなときには身近な蝶を撮影するチャンスがあります。
Commented by ダンダラ at 2006-02-01 23:22 x
chochoensisさん、過分なお褒めの言葉ありがとうございます。
ムラサキシジミが身近な所でも簡単に見られるようになったので、随分写真が撮れました。
ムラサキシジミは好きな蝶なのでカメラを向けますが、それ以外の身近な蝶にもカメラを向ければきっと良い写真が撮れると思うのですが、なかなか難しいです。
Commented by ダンダラ at 2006-02-01 23:35 x
kenkenさん、もともと自分の撮影した写真を束縛されない形で、好きな時に好きな写真を見てもらいたいと始めたものですから、ある程度たまると自然と載せたくなります。
ずぼらな私にしてはよく続いていると我ながら感心してます。
でもkenkenさんも、写真を始められたのがミレニアムの頃からのようですから、素晴らしい写真の数々を拝見するとうかうか出来ないなと思ってしまいます。
Commented by 6422j-nozomu at 2006-02-02 22:17
写真集の方本当充実しています。交尾写真と、飛翔写真が揃えば、パーフェクトですね。身近な蝶でもすべてのポーズを撮るという新たな目標が出来たような気がします。流石です。
Commented by thecla at 2006-02-02 22:31 x
様々な産卵シーン素晴らしいです。
そういえば、確かに80年代はほとんどムラサキシジミを見かけることはなかったですね。
そのため、ブランクのある私にとってはムラサキの輝きだけで満足してしまうところがあります。
Commented by ダンダラ at 2006-02-02 22:41 x
ノゾピーさん、交尾と飛翔写真、両方ともハードルが高いですね。
交尾は偶然のチャンスに任せるしかないし、飛翔の方は狙っても撮れそうもありません。
飛び立った所でシャッターが落ちたという偶然待ちしかチャンスがなさそうな気がします。
せいぜい見かけたらちゃんとカメラを向けて、幸運の女神が微笑むのを待つしかないですね。
Commented by ダンダラ at 2006-02-02 22:46 x
theclaさん、わたしもムラサキシジミを見かけるとついうれしくなってしまいます。
温暖化は色々言われますけど、こんな所ではちょっとうれしいです。
Commented by FANSEAB at 2006-02-02 23:26 x
ピントがカリカリ過ぎてボツにした・・・・。ダンダラさんならではの余裕のコメントですね。こちら「カリカリ」狙いのつもりが手ブレとピン甘で「しっとりとした?(早い話がピンボケ)」仕上がりの写真の乱発で泣いています(^^);;
関東でのムラサキの増加は個人的にはマンションや公園等の植栽にアラカシが好んで植えられるようになったことも一因と考えています。70-80年代は機能一点張りのマンションが多かったのですが、90年代頃からは、植栽にも配慮した建物が増加し、マテバシイやアラカシが増え、ムラツバや本種も増加した・・・いい加減な仮説ですが、温暖化も相乗効果で関東への本格定着に結びついたと考えています。
Commented by ダンダラ at 2006-02-03 11:48 x
FANSEABさん、写真の方はたまたまムラサキシジミの翅表に関しては同じようなポーズのが何枚かあっただけで、余裕というわけではないです。
むしろマクロとズームの写りの違いについて気がついたのでのせてみたんですが、このしっとり感はやはり色収差などの影響なんでしょうか。
ムラサキシジミの増えたわけ、たしかに公園にはアラカシの植栽も多いですね。早い話、私の観察フィールドもそうです。
それに「軽井沢の蝶」のKさんも、最近になって発生を確認されているようですから、温暖化の影響もたしかにあるようです。
Commented by 愛野緑 at 2006-02-03 23:42 x
80年代の初め頃、青梅でムラサキシジミが採れると聞いて探しに行ったことがあります。
その頃狭山丘陵では見たことがなく、あの紫色に感動したものです。
その後も狭山丘陵ではしばらく見られなかったと思いますが、ここ数年は普通種?になっちゃいました。
Commented by ダンダラ at 2006-02-04 07:49 x
愛野緑さん、やはりそうですか。
私のようにあっちにふらふら、こっちにふらふらしているものと違って、地元の蝶をきちんと把握しておられる愛野緑さんもそう思うなら、やっぱり最近増えているのは間違いではないですね。
今年感じた冬の活動性 ルーミス>ムラサキシジミ>ムラサキツバメ には定着の歴史が秘められているのかも なんちゃって。


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