2011年 12月 27日
定期試験の後処理も終えたので、冬休みまでしばらくの間勤務は13時まで。 12月14日は勤務後アカボシゴマダラの様子を見に行く。 終令幼虫のいた葉を見ると様子がおかしい。 葉がかろうじて枝にぶら下がっていて、そこにいたはずの幼虫の姿が見えない。 下に降りたのかと思って根元の方を探すが見つからない。 葉が枝に付いている様子から、鳥か何かにやられた可能性が高い。 蛹の方は2つとも無事付いていた。 大きく傷ついた方は思ったより変色は進んでいない。 もう一つの方は正常な色をしていて確実に生きているようだが、付いている葉が枯れてちょっと不自然な感じにはなってきた。 越冬中のムラサキシジミ、ムラサキツバメの様子を見に行くと、ムラサキシジミが止まっていた葉は風で飛ばされてしまったようだ。 近くの枯れ葉を見てみるが姿はなかった。 ムラサキツバメのほうは、丸まったクヌギの枯れ葉で越冬中だった。 この格好でも充分目立たないと思うのだが、なぜ多くの場合緑色の葉に止まるのだろう。 勝手に想像してみると・・本来の生息地では、越冬期に枯れ葉があるという環境ではないのかな。 常緑樹は6月頃に葉が更新されるし、もっと南では乾期に葉が落ちるようだし、そんなことと関係があるのだろうか。 17日の土曜日に新宿で行われていた「日本蝶類保全協会」主催企画展・写真展に勤めの合間をぬってちょっとだけ出向いたのだけれど、講演者のfanseabさんと講演の前にアカボシゴマダラの話をしたら、葉が枯れて茶色になると目立つようになって小鳥に襲われやすくなると言うお話をいただいた。 その時点では蛹は無事だったけれど、気になったので休日出勤の振り休の19日に様子を見に行った。 そしたら、蛹は2つともなくなっていた。 葉があちこち折れ曲がっている様子から見ると、こちらも鳥にやられた可能性が高い。 がっかりすると同時に、保護色というか擬態というか素晴らしい効果があるのだなと実感した。 この日は気温が低かったので活動する成虫も見られない。 越冬中のムラサキツバメを見に行ったら、クヌギの葉が落葉して、これもいなくなってしまっていた。 これではこの冬に観察する対象がなくなってしまうということで、暖かい日にムラサキツバメが良く飛び出していたマテバシイを見に行くと、1頭だけ越冬中のムラサキツバメを見つけた。 ただ、この位置は天気がよい日にはよく日が当たるので、もしかしたら飛び出してしまうかも知れない。
by dandara2
| 2011-12-27 13:13
| 越冬
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Comments(10)
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yoda-1 at 2011-12-27 17:15
身近に追跡調査されているはすごく有意義だといつも拝見しております。
言われてみると、ムラサキツバメは香港でも撮影した経験があり、暖かい東南アジアではそもそも越冬する必要がないのでしょうか。越冬する必要がある気候では、自ずと側に落葉樹の葉があるのかもしれないですね。 ムラサキシジミもムラサキツバメも余り関東で、越冬個体で春先に見ることも経験の少なさもあって、YODAはよく確認できていないのですが、ウラギンシジミと同様に、関東地区ではごく小数だけが越冬に成功しているとうこともあるのでしょうか?
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ウ〜ン、アカボシの蛹、残念です。
今の今まで擬態なんてどれほどの効果があるのかいな?と疑問に思っていたのですが・・・ 完全に認識を覆されました。 実は擬態ってある程度から先は進化の慣性的な側面の現れなんじゃないかと思ったりもしていたのです。 昆虫達の擬態競争、伊達ではなかった訳ですね。 観察って大事だと改めて感じさせられました。
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ダンダラ
at 2011-12-27 23:28
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yodaさん、ムラサキツバメの本来の生息地がどんな環境なのかわかりませんが、少なくとも枯れ葉で越冬するような環境ではないのでしょうね。
ウラギン、ムラサキシジミは確実に関東で越冬していますけど、生存率はかなり低いようですね。 何年も近くで観察していますが、年を越すと観察できる個体がぐんと減ります。 ムラサキツバメは、埼玉あたりでは越冬できないのかも知れないです。 もっと暖地で越冬したものが、夏ころまでに数を増やして移動してくる感じではないでしょうか。 そんな報告をどこかで見たような記憶があります。
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ダンダラ
at 2011-12-27 23:34
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naoggioさん、アカボシゴマダラはひそかに越年して羽化するかもと期待していたのですが、寒さ以外の要素でダメになってしまいました。
この時期の鳥の餌探しの執念はすごいですから、本当は予想していなくてはいけなかったのでしょうが、観察(経験)不足でわかりませんでした。 おっしゃるように幼虫や蛹の色や形は身を守る上で重要なものなんだなと改めて感じました。
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clossiana at 2011-12-28 07:26
やはり蛹の色が問題だったようですね。。もともと産卵時期が遅すぎたからなんでしょうね。
一方、鳥の方が見逃さないのもさすがだなと思いました。ムラツが緑葉を選択するのは、 仰られていますように本来の生息地の環境が反映されているのかもしれません。中国南部、 インドシナ半島での様子がわからないと全ての行動がいつまでも推測の域を出ないような気がします。 但、緑葉を選択せずに最初から枯葉やその近くを選択している個体(写真の個体のように) がいることも不思議です。成虫のわきにいる小さな虫は蜂の仲間ですか?
蛹は残念でしたね。見せていただいたあの場所は、道路脇だったと思います。
周りの色との同調が崩れたときに、鳥に見つかるのですね。 自宅近くのムラサキシジミは、今年はとても少なく、植え込みやカシの木立の中をさかんに飛び回っているメジロにやられたのかもしれません。
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ダンダラ
at 2011-12-28 10:55
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clossianaさん、そうですね。産卵が遅すぎたようですね。
この種が越冬に入るタイミングというのは、多分日長等によるのだと思いますがいつ引き金が入るんでしょうか。 越冬幼虫が何齢なのか良くわかりませんが(3齢位?)、ある齢を過ぎると越冬体制に入らずそのまま成長してしまうんでしょうね。 ムラツですが、ここでクヌギの枯れ葉に止まっていた個体は、ここで見つけた時点(11/23)ではクヌギの葉は緑色でした。(12/5の記事) 枯れ葉にいるのを観察した場合は、それが常緑樹の葉なのか、落葉樹の葉なのかで注意が必要ですね。 落葉樹の場合だと、今回のクヌギのように、ムラツが選んだ時点ではまだ緑色だったかも知れません。 小さな虫はハエかアブの仲間ではないかと思います。 こちらでは良く見つかりますが、越冬場所としては良さそうな葉にいることが多いです。
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ダンダラ
at 2011-12-28 10:59
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otto-Nさん、はい、公園に入る道のすぐ横でした。
人が時々通るので、小鳥の被害は少ないかなと思っていたのですが、そうでもなかったです。 小鳥に見つからなかったのは、幼虫・蛹自体の隠蔽の効果だったようです。 今年はムラサキシジミは少ないですね。 私もいつもなら越冬している場所を何度も探していますが見つかりません。 こちらでは、越冬に適した枯れ葉自体が少ないです。 農家が落ち葉を集めに来るようになったので、その時に枯れ葉を叩いて落としてしまうのが原因かなと思っているのですが・・個体数自体が少ないというのもありそうです。
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himeoo27 at 2011-12-30 08:27
鳥(雀、鳩、ヒヨドリ、烏等)もこの時期お腹が空いているようで、良く我が家のベランダにやってきて餌を強請ります。蝶から見ると憎き敵ですが、彼らも越冬大変なんですね!
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ダンダラ
at 2011-12-30 19:00
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himeooさん、蝶などの昆虫から見ると、鳥は怖い存在ですね。
特にメジロなどの小型の鳥は葉の間の細かい所まで潜り込んで餌を探しているので、かなりの割合で犠牲になってしまうようです。 自然の摂理だから仕方ないですが、自分の観察対象だけは目こぼしして欲しいと思ってしまいます。 |
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