2010年 11月 10日
このところ蝶鳥ウォッチングのyodaさんが熱心に蝶の区別点について書かれている。 生態写真を撮っていると、図鑑で記述している区別点が必ずしも役に立つとは限らないので、こういった企画は有用だと思う。 先日書かれた、ヒョウモンチョウとコヒョウモンの裏面の区別点について、私なりの意見を述べたが、口ではうまく言い表せない点があるので、参考までにここに載せておくことにする。 ただ、ここに書く内容は、あくまで自分で撮影した写真の区別用に使っているもので、十分な検証がなされているわけではないことをお断りしておく。 また、北海道のものについては、写真がないのでこれが適用できるかどうかはわかりません。 裏面の区別に使用するのは図鑑などに書いてある点は除いて次の2点になる。 ①の矢羽根の開き具合と②のラインで ① ヒョウモンチョウ・・・鈍角に開く。 コヒョウモン ・・・鋭角になり、あまり開かない。 ② ヒョウモンチョウ・・・直線 コヒョウモン ・・・山形の曲線 写真を見比べてもらえばわかると思う。 それぞれについて、もう少し写真を載せてみる。 なかには①の開き方がどちらか迷う場合があるが、②と併用すれば区別できると思う。 ついでにヤマキマダラとサトキマダラの区別について これも図鑑などに示されているのは省いて 後翅裏面の3つの小紋について 一般にこの紋のズレ方で区別するように書いてあるが、一体どれ位ずれているとヤマキマダラなのかの記述がわかりにくい。 ここにラインを引いてあるものもあるが、ラインの引き方が曖昧なのであまり役に立たない。 図のように紋の外側の黒い部分を、前の二つについて定規などを当ててみて、その延長が3番目の紋にかかっていればサトキマダラ。 外を通ればヤマキマダラと判断できると思う。 なおこれは、関東産のみについてしか検証していない。 再度言うけど、これはあくまで個人で工夫しているもので、まだ十分な検証がされていない。 諸兄のご意見を聞かせていただければ幸いだ。 また、最終的な判断はこれらに加えて、図鑑などに記述されている区別点も加味して、総合的に判断する必要があるのはいうまでもない。
by dandara2
| 2010-11-10 22:29
| 近似種との区別
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Comments(10)
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banyan10 at 2010-11-11 14:06
同定が難しい蝶の場合はこういう記述は参考になります。
確実に分かる違いがあれば一番ですが、そうでなくても各種の区別点、見た目の印象などを加味すると確率が高くなりますね。
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ダンダラ
at 2010-11-11 18:47
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banyanさん、類似種は図鑑などを見てもなかなかわからなかったりするので、他の人はどこを見て区別しているのかと言うことは参考になりますね。
私の場合は、南方の蝶のストックがないので、セセリ類などでの有力な区別点を図示してもらうと助かるんですが、どなたかやってくれませんかね。
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himeoo27 at 2010-11-11 21:17
撮影してきたチョウを図鑑で見比べても判別するのに苦戦するド素人のヒメオオにとって大変参考になりました。これからも適宜掲載お願いします。
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yoda-1 at 2010-11-11 22:05
ダンダラさん、
早々のご開示ありがとうございます。 翅裏の傾向ですが、藤岡知夫・日本産蝶類大図鑑をみると確かに信州産としては、 このような傾向が強いのような感じです。 でも、YODAの場合まずは、北隆館・検索図鑑と学研・標準図鑑で自分の画像の少なさを補うので、このような傾向は例外個体が少なからずあって導けませんでした。 YODAの比較ブログの最後にMORE機能で、図鑑画像を掲載しましので、是非ごらんください。(北海道産・青森産もありますが、長野県・群馬県でも例外的なものがあるかと) キマダラヒカゲの基部三点の補助線による判断方法はなるほどです。 これはヤマの方がキンク度が高く、第三点がはずれ度合いが大きいので、両方を一気に示すうまい方法だと感心しました。 ただYODAの場合、サトにもキンク度のある個体も少なからずいるので、もう、「中間点がいかに上端側の点へ近いか」だけで見るようになってしまっています。 ダンダラさんの補助線法でも、YODA比較画像において例えば、画像3、画像8は例外になるように思うので、御指摘のように総合的判断の大切さを再認識です。
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ダンダラ
at 2010-11-11 22:32
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himeooさん、基本はあくまで図鑑ですけど、図鑑である程度種名を絞ってさらにこういった点も参照して、自分なりの判断基準を磨くと良いのではないでしょうか。
あーだ、こーだと苦しんでみるのが一番ですね。
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ダンダラ
at 2010-11-11 22:40
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yodaさん、こういったことは色々な意見を交換して精度の高いものに仕上げていくのが良いのでしょうね。
ヒョウモンチョウとコヒョウモンについては、北海道産については、翅表・翅裏を標本で比べても区別が難しいようですから、この一点だけで区別するのは自ずと難しいのでしょうね。 長野あたりにしても、yodaさんが引用してくれた私の過去の記事からもわかるように、混生地においては両方の特徴を持った個体も少なからず存在するようなので、写真や図鑑の標本を眺める場合にもそういった点を注意しながら見ることも必要ではないでしょうか。 サトキマダラのラインについては、これだけではなかなか決定的なものとはならないかと思いますが、ご指摘のyodaさんの画像3については、他の特徴にもヤマキマダラ的な点も多々あり、サトキマと断定して良いものかどうか微妙だと思います。 ただ、私は山口産の写真を持っていないので、yodaさんの判定を尊重したいと思っています。 画像8はいま名刺をあててみましたが、とくに問題はないように思います。
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yoda-1 at 2010-11-11 23:01
画像3は、まずはサトで問題ないと思いますが、今回「山口むしの会」に入会したので、
質問してみます。 ここにも秋吉台のサトキマの画像があります。(もちろん両種が混在している可能性もありますが) http://www.geocities.jp/yamagutimusinokai/topics/2010/100710akiyosidai/100710a.htm
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ダンダラ
at 2010-11-11 23:16
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yodaさん、是非確認してみて下さい。
山口のサトキマがこのような特徴を持つのか大変興味があります。 ご指摘のアドレスの写真については、斑紋の特徴はサトキマでまったく問題ないように思いますが・・ それと、書き忘れましたが、長野の混生地での両方の特徴を持った個体の存在については、学研の標準図鑑にもその様な記述があります。 たんに、図鑑に例外的なものがあると言うことではなく、混生地に置いてはそう言った区別しがたいものがあるのか、単独分布圏に置いてもそうなのか、私自身まだそう言ったことに注意して撮影したことがないので、今後気を付けてみていきたいと思います
近似種が混生している場所に対しては、結論が出ない種類が見られますね。
これに関してはわれわれは、 ・翅の模様、形あるいは大きさ ・体の特徴 ・食草 など、観察可能なもので判断をするしかないですので、微妙な個体が出てきてもそれはしょうがないかなと、思っています。 本当に同定するにはDNAなどから判定すれば可能でしょうが、そこまでは不可能です。 また、斑紋異常が報告されるように、単純な個体差で近似種に似てしまってはお手上げです。 決定的に「ここが違う」という箇所を見つけることを目標に撮影をしていくという動機ももち今の趣味というか活動を続けていくのもいいのかなと個人では思っています。 ダンダラさんやYODAさんのご意見は図鑑から得る知識の枠を超えていると思っています。フィールドの観察がものの見事に生かされている話はとても参考になります。
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ダンダラ
at 2010-11-13 07:50
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HAさん、写真を撮影していると、近似種の区別点は図鑑ではわかりにくい点もおおく、写真を見た時に単純でわかりやすい区別点はないかと試行錯誤していますが、なかなか難しいものですね。
それに、せっかく生態写真を撮っているので、斑紋の特徴以外にも、写真ならではの区別の仕方がないかと考えています。 例えば交尾拒否の行動パターン、産卵体制など・・・ 標本にはない区別点が明らかになると楽しいなと思っていますが、こちらは全く五里霧中です。 |
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