2008年 09月 11日

狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)

9月の観察の前に、8月29日にもホソオの観察をしていたのですが、他の観察日記に隠れて載せるチャンスを逃していました。
この日は予報に反して天気がよいので午後からホソオチョウのその後の様子を見に行って見ました。
8月23日は天気が悪くて数頭のホソオを見かけただけだったので、青空の見える今日はどのくらいの個体が飛び交っているのか興味があったけど、ポイントに着いてみると数頭の雄が飛んでいるのが見えるが、期待したほどの数でもなくなんだか拍子抜けの感じ。
天気が良く、気温も高いので♂は♀を探して飛び続けるのみでほとんど止まらない。
1頭だけあまり飛び回らない個体がいて、エノコログサに止まったり、小飛して翅を開いてくれたのがいたけど、やや傷んでいて発生のピークは過ぎた感じがする。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_22442435.jpg

今回は単にホソオの静止写真や飛翔写真を撮るのではなく、ジャコウアゲハとの関係、あるいはホソオ自身の生態的地位がどう言ったものかを多少は見極めたいという気があったので、そちらに注意しながら探してみることにした。
まず、先日ホソオチョウの卵とジャコウアゲハの卵が同時に産み付けられていたウマノスズクサを見てみると、既に孵化した後のようで卵殻だけが並んでいた。
ジャコウアゲハも孵化したようだが、近くに幼虫が数頭見える。ところがホソオチョウの方は1頭の幼虫も見かけられなかった。
近くにはいくつかの孵化した後の卵塊が見られたので、ざっと見てみるが同様に幼虫を見つけることが出来なかった。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_2247691.jpg

代わりに見つけたのがハエトリグモ。これが犯人かどうかは良くわからないが、幼虫の生存率はかなり低いようだ。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_22473444.jpg

幼虫を探してみるが、ウマノスズクサ自体が減っていて、丈の短い草が少数残っているだけで、そこに色々な令の幼虫がしがみついていた。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_22475837.jpg

近くを探すといくつかのホソオの蛹が見つかった。
基本的には帯蛹で、食草や近くの枯れた茎などについていることが多い。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_22481572.jpg
ただ、帯糸はあまり丈夫ではなく、尾端のみでぶら下がっている蛹も見られる。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_2249840.jpg

探す範囲を広げてみたら、ホソオの幼虫がいない茎にジャコウのかなり成長した幼虫がついているのを見つける。
枝を触ってみたらくるりと回る。アレッと思ってみると茎の下の方をかみ切ってしまっていた。
ジャコウの幼虫は成長するとこういったことを良くするけど、何で貴重な食草を根元から切って枯らしてしまうのだろう。理解できない習性だ。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_22504320.jpg

幼虫の観察はとりあえず止めて、成虫の観察に切り替えるが、ジョロウグモの巣にかかった個体がいた。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_2251784.jpg
♂の飛翔を見ていたら、変な動きをするのが見えたのでアレッと思ってよく見るとシオカラトンボにつかまったところだった。
シオカラトンボは近くの枯れ枝にとまって獲物を食べ始めたようなので、慎重に近づいて撮影する。
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_2252074.jpg
ホソオはこれらの天敵につかまる確率はかなり高いものと思われるけど、ジャコウの成虫は大きすぎてこられの捕食者には少し手に余るのではないかと思われた。
ただ、ガードレールにあるジャコウの蛹を見るとかなりの確率で寄生されているようなので、ジャコウにとってはこちらの脅威の方が大きいようだ。(この写真は同地で別の時期に撮影したものですが、中央の1つを残して他は全て寄生されているようです。)
狭山丘陵のホソオチョウ(2008/8/29)_f0031682_2253349.jpg
♀も2頭ほど見かけたけど、意外に敏感で撮影は出来なかった。
昨夜はここにも激しい雨が降ったようで、西の空に黒い雲が見え始めたので近くのブドウ園で狭山のブドウを購入して帰る。

by dandara2 | 2008-09-11 22:55 | 天敵 | Comments(8)
Commented by hirokou at 2008-09-11 23:30 x
dandaraさんこんばんは。
私は先日見に行ったのですが、ホソオの幼虫・蛹はほとんど見られず、オス成虫が1匹飛んでいるだけでした。畑の草から飛び出ているスズクサにも卵の殻があるだけで幼虫は確認できず。
幼虫成虫共に生存率は低そうでやはり定着は難しそうですね。柵の方のジャコウの多いスズクサがかなり枯れていて根元が切られていたのですがあれはジャコウの仕業ですか?不思議な行動ですね。
Commented by ダンダラ at 2008-09-12 00:04 x
hirokouさん、この場所は食草が限られているので、たくさんの個体を継続的に養うのはちょっときついのかもしれないですね。
ただ、この時期は蛹は非越冬蛹と越冬蛹の2種類が出来ているはずなので、来春の発生には問題ないと思います。
個体数の方は食草次第と言うことで落ち着くのでしょうか。
Commented by maeda at 2008-09-12 06:14 x
トンボは自分より大きくても捕食するんですね。
驚きです。
ジャコウの蛹が沢山見られるとは聞いたことが有るのですが、この絵も初めて見ました。
Commented by chochoensis at 2008-09-12 22:03 x
ダンダラさん、私は今日、12日に行ってみました・・・成虫の姿は確認できませんでした・・・蛹は幾つかありましたが、寄生されたものが多かったです。幼虫はあまり探さなかったので、良くわかりません・・・。30分ほどで、カミキリムシの撮影に切り替えてしまうほどサッパリだめでした。
Commented by 蝶山人 at 2008-09-12 23:30 x
移入種の土着、在来種との競合
天敵や寄生虫との生存競争
我々が知りたい情報が詰め込まれたblogです。
これこそが生態写真ですね?
美しいだけではない本当に模範とすべき写真の数々です。
素晴らしい。
Commented by ダンダラ at 2008-09-13 00:07 x
maedaさん、ホソオくらいの華奢な体だとトンボは苦にしないで捕まえますね。
イチモンジセセリのボリュームある体でも平気でつかまえています。
ここにはガードレールがあって、探すとジャコウの蛹はいくつも見つかります、ホソオの蛹もあったんですが、抜け殻で撮影しませんでした。
個体数が多いと色々な生態が見られて面白いです。
Commented by ダンダラ at 2008-09-13 00:10 x
chochoensisさん、もともと3化は2化の幼虫の中から越冬蛹にならなかったのが羽化したものなので、個体数はそれほど多くはないんでしょうね。
10月の上旬にはもしかすると4化があるかもしれないので、興味のあるところですね。
Commented by ダンダラ at 2008-09-13 00:16 x
蝶山人さん、ありがとうございます。
そんなにほめられると照れますね。
生態写真を撮っているとこういったシーンもきちんと押さえておきたいと思いますし、欲を言えば人にも見せられる写真をと思ったりします。
その意味でトンボに補食されるシーンは、ホソオには申し訳ないけど迫力も出せて良かったと思っています。


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