2012年 08月 12日

クロシジミの産卵(2012/8/3)

ヒメヒカゲ、アカセセリを撮影した日は家内の実家にとまり、翌日はクロシジミ、ホシチャバネセセリを撮影しに富士山麓を訪ねた。
車を置いて歩き始めたら家内が、「今年はミヤマカラスアゲハのお出迎えはあるかしら」と言う。
昨年もこの時期にここに来たら最初にミヤマカラスアゲハが出迎えてくれて手乗りにもなったけど、毎年そんなことがあるわけないと思っていたら本当にミヤマカラスアゲハが出迎えてくれて、今年も手乗りになってくれた。
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クロシジミのポイントに着くと、こちらもさっそく雌が出迎えてくれた。
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他にも個体がいないかと探して周辺を回って戻ると、家内がクロシジミが産卵をしているという。
私が行ったときには産卵は終わっていたけど、家内が撮影した写真の中には産卵中の雌にアリが絡んでいるのが写っていた。
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(家内撮影)

そこで、アリとクロシジミの関係に少し注意しながらここで粘って撮影することにする。
クロシジミの雌が好んで静止するところには必ずと言っていいくらいアリがいて、ときには両者が遭遇することがある。
クロシジミはありと遭遇しても特に目立った動きは見せないけど、アリはクロシジミに興味を示して体に触れたりして確認することが多い。
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だからといって特に攻撃的な行動に移ることはない。

産卵衝動に駆られたメスは、アリの動きに注意しているけど、アリと言うよりはアブラムシに絡むアリの動きに注意しているように見える。
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この写真でも、クロシジミの視線の先、画面の下の方にはアブラムシに来たアリの姿が黒い点で見えている。
アブラムシの世話をしているアリは外敵の侵入に敏感で、ここにうっかりクロシジミが近づくと攻撃をされる。
その時にはさすがのクロシジミもあわてて逃げ出す。
それで、産卵しようとするメスはアリの動きをじっと注意してしばらく見つめていることが多い。
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この写真ではありの姿は写っていないけど、卵のある位置の裏側でアリがアブラムシの世話をしている。
もしアリが写っていたら結構迫力があって、今年狙っている写真に近い写真になるんだけれど少し残念。
コンデジの小さな液晶画面では細かなアリの動きまで分からない。

タイミングを見計らってクロシジミが産卵場所に近づいてすかさず産卵を始める。
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飛び移った時点で攻撃をされることも多いけど、産卵を始めるとある程度産卵するまではアリが近づいてもそのまま産卵を続けることが多いようだ。
ここである程度粘って満足するだけの写真が撮れたので、次にホシチャバネセセリを狙って移動することにする。

ところがホシチャバネセセリがなかなか見つからない。
最初に見つかったのはミヤマカラスシジミ。
雄はテリ張りをしている。
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私は気が付かなかったが、家内はチダケサシで吸蜜している写真を撮っていた。
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(家内撮影)

雌は産卵体制をとりながら枝を歩き回っているけど、実際に産卵したかどうかはわからなかった。
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このメスは最初何気なく撮ったけど、よく見ると外縁の白線が広がっていてきれいだ。
このような個体は初めて撮影した。
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かなり歩き回ってもホシチャバネセセリは見つからないので、半分あきらめた時にカセンソウの花の上で吸蜜するホシチャバネセセリを見つける。
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よく見ると周囲に数頭のホシチャバネセセリがいて、いずれも黄色のカセンソウで吸蜜している。
やや擦れ気味で光線が強いので撮影は難しいけど、なるべく丁寧に撮影する。
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最後に魚露目でこの場の雰囲気が出るようにして撮影。
背景は富士山、ちょっと雲に隠れてしまっている。
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帰りがけに、この場にもクロシジミがいた。痛んでいるけどここでは初めての観察になる。
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by dandara2 | 2012-08-12 10:48 | 産卵 | Comments(14)
Commented by midori at 2012-08-12 13:04 x
ここは素敵なポイントですよね。いろいろな美蝶たちが出迎えてくれます。
クロシジミの産卵シーン、ナイスタイミングですね。裏にはアリさん待機ですか...
メスのお腹の大きさは凄いですね。ミヤマカラスも新鮮で美しい。
ヤマキは、まだ未発生でしたか...?
Commented by ダンダラ at 2012-08-12 22:55 x
midoriさん、景色もいいし、気分の良い場所ですよね。
クロシジミは蝶の中でも表情豊かで、じっくり待っているといろいろなシーンが楽しめる蝶だと思います。
ヤマキはいましたが、撮れませんでした。
Commented by 22wn3288 at 2012-08-13 08:58 x
クロシジミとアリとの関係が撮れていて興味深いです。
ホシチャと富士山 いいですね。
環境も分かって素晴らしいです。
Commented by himeoo27 at 2012-08-13 16:57
①ミヤマカラスアゲハの指乗せは羨ましいです。

②ミヤマカラスシジミ外縁に白い模様のある個体綺麗ですね!

③やっと見つけた「ホシチャバネセセリ+富士山」のセット画像
最高です。
Commented by ダンダラ at 2012-08-14 08:33 x
22wn3288さん、クロシジミとアリとの関係は巣の中だけでなくて、こういった産卵を巡る駆け引きの場でも写真になって面白いです。
ホシチャと富士山、富士山がもう少しはっきりしていたらよかったんですが、それでもちょうど良い場所で吸蜜してくれたので良かったです。
Commented by ダンダラ at 2012-08-14 08:38 x
himeooさん、ミヤマカラスのこの場所はちょっと交通量が多いので、この後安全な場所まで移動してあげましたが、2年続けて同じ場所で同じ種類の手乗りというのも面白いと思いました。
ミヤマカラスのこういった変異はよくあることなのかわかりませんが、きれいですよね。
撮影しているときに気が付いていればもっときちんと撮影したのですが、産卵のほうに気を取られていたので数枚しか撮影しなかったのが残念です。
ホシチャと富士山ありがとうございます。魚露目もこういった場合には活躍しますね。
Commented by naoggio at 2012-08-14 10:42 x
このミヤマカラスシジミの白化?個体は珍しいですね。
外縁では白が発達しているのに内側の白線がほとんど消失しているのも興味深いです。
きれいな異常型ですね。
ホシチャ+富士山=ナイスショット
Commented by HOUNOKI at 2012-08-14 18:29 x
クロシジミとアリの絡みが
面白いですね。
特にクロシジミの雌にアリが触れている写真は
思わず身を乗り出すくらい興味深いです。
何か会話でもしているようで
楽しいですね。
Commented by Sippo5655 at 2012-08-14 22:20
クロシジミとアリの様子、面白いですね。
やはり、お互い様子をよく見ていろんな行動をしているのですね。
ミヤマカラスアゲハが、手乗りですか(@-@) きゃ~~♪
ホシチャバネセセリにも出会えて、良かったですね!
富士山バックのお写真、とても爽やかで素敵です~♪
↓の高原模様も爽やかですね!
Commented by ダンダラ at 2012-08-15 10:07 x
naoggioさん、そういわれてみれば外縁以外の白線は退化していますね。
外縁の異常に気を取られてあまり注意していませんでした。
さすがですね。
超広角の写真って非日常的で面白いですよね。
Commented by ダンダラ at 2012-08-15 10:09 x
HOUNOKIさん、クロシジミとアリとの関係は表情豊かで面白いと思います。
かなり人間的というか、これだけ蝶の意識が外にも伝わってくる種類というのはほかにはあまりいないと思います。
Commented by ダンダラ at 2012-08-15 10:13 x
Sippoさん、アリ自体が集団生活でいろいろなしぐさを見せてくれますが、基本肉食の昆虫だから、それを相手にしているクロシジミもいろいろな駆け引きをして生き延びているんだと思います。
どちらかというと無機的な蝶の写真の中では珍しく人間的というか、いろいろな感情移入ができて面白いと思います。
ホシチャバネセセリは今年はあまりついていなくて、ここでも嫌われちゃったかなと思っていたのでよかったです。
富士山バックの写真、お褒めいただきありがとうございます。
Commented by clossiana at 2012-08-17 07:57
アリはクロシジミの成虫に対しては、すぐに攻撃するのかと思っていました。ですから4、5番目のシーンは意外でした。すぐに攻撃をすると記載の本もあります。この対応の違いは何故生じるのですかね?アブラムシとの距離の問題で近い場合は攻撃するのですかね?7番目の写真のように母蝶は近くでじっとチャンスを伺っていますが、次の産卵シーンを期待して待っていても炎天下だと、待ちきれなかったです。
Commented by ダンダラ at 2012-08-17 13:02 x
clossianaさん、私が観察した限りでは、アブラムシの世話をしているアリはかなり神経質で、近くに何か近づくとすごい速さで走り回ったり、クロシジミの脚や尾端にかみつこうとしていました。
ススキなどの葉の上を歩いているアリはそれほど神経質でもないようです。
アブラムシを天敵から守る行動ではないでしょうか。
産卵のチャンスをうかがうクロシジミは確かに粘り強いですね。10分くらいはそのままじっとしていますね。


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