2011年 12月 18日

小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)

11日の日曜日は前日同様素晴らしい晴天。気温の方も少しは上がるようだ。
アカボシゴマダラの終令幼虫は、たった一日で静止していた葉が茶色く変色してしまった。
この2日間の寒さがどれだけすごかったかわかる。
蛹の方は羽化前兆かも知れないと少しは期待してみたけど、変化はなかった。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2304583.jpg

サザンカの場所に着いて少しすると、周囲をムラサキツバメが飛び始めた。
そして吸蜜に来るが、なぜかくたびれた花にばかり来る。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_231953.jpg

一週間前にはムラサキシジミが来た新鮮なサザンカもこんな感じ。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2312858.jpg

こちらの花も花びらは黒ずんで、花心もしおれかけている感じ。
手で触ると、花弁はぱらりと落ちてしまって雌しべだけが残る。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2314713.jpg

少しはきれいな花に来るように、あまりにひどい花はむしって捨ててしまった。
そして様子を見ていると、それまでよりはましな花に来てくれたけれど、それでも新鮮な花には吸蜜に来ないで少し色が変わりかけた花にばかり来る。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2321731.jpg

思うに、ムラサキツバメにとっては新鮮なサザンカの紅い色は見えないのではないだろうか。
少しくたびれてきて紫色が入り始めて初めて吸蜜の対象として視覚に入るのではないかと思う。
見える波長が異なると言うことだろう。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2325011.jpg

それに対してムラサキシジミは鮮やかな紅色もきちんと認識できるのだろう。
こちらは吸蜜後休んでいるムラサキシジミ。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_234737.jpg

試しに、色の変わりかけた花を全て取り去ってみる。
と言っても無理矢理むしるのではなく、手で軽くつまむと花弁が簡単に取れてしまうような花ばかり。
すると、手の届かないところの変色した花に行くようになって、新鮮な花にたまに止まっても吸蜜はせずただ止まっているだけという状態になってしまった。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2344937.jpg

この個体も吸蜜はせず、暖かい花弁の中で日光浴をしているという感じ。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2351424.jpg

この日見たムラサキシジミもムラサキツバメも全て雄だった。
雌の活動には少し気温が低かったのだろうか。
サザンカの葉の上で翅を開いた個体はきれいなブルーだった。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2353750.jpg

小飛してまた翅を開いたがこちらは濃い紫に見えた。
肉眼で見た感じはこちらに近い。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_235572.jpg

昨日モンシロチョウがとまった銀杏の落ち葉にはキタテハが来ていた。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_236238.jpg

ムラサキシジミの越冬の様子を見たら、昨日2頭いた場所には4頭が止まっていた。
気温が高いので撮影しようとしたら一頭が飛んで3頭しか写らなかった。
小畦川便り(ムラサキツバメ吸蜜:2011/12/11)_f0031682_2364873.jpg


by dandara2 | 2011-12-18 23:10 | 吸蜜 | Comments(14)
Commented by clossiana at 2011-12-19 07:57
千葉の観察地でも全く同じ色のサザンカが咲いていましてムラツが吸蜜にきますが咲き始めより萎れ始めた花に惹かれている感じがします。今まで特に気にしていませんでしたが言われてみて初めて「確かに。。」と思わされました。今後、注意してみてみます。♂の翅の色ですが色合いを良く表現出来ている時は下から3番目の写真のように後翅に黒いヘリが現われている時だと感じています。これが現われている時が自然な色合いではないでしょうか?
Commented by 22wn3288 at 2011-12-19 08:35 x
ムラサキツバメは沢山居るようですね。
開翅のブルーは良く出ていますね。光線の具合でしょうか、個体によるのでしょうか。
Commented by otto-N at 2011-12-19 09:31 x
あれだけ沢山の花が咲いていても、チョウは特定の花だけに止まる気がします。おそらく嗅覚で蜜の出ている花だけを感知しているのだと思います。綺麗な花よりもも萎れ始めた花のほうが、蜜を出しているか、萎れ始めたときに花弁から汁が出ているのではないでしょうか。上から2枚目は花弁にストローを伸ばしている風に見えます。
綺麗なブルーですね。横向きの場合に色が出るようです。頭のほうから光が当たる場合構造色が出て、後ろからでは青っぽくなる気がします。本来の色はclossianaさんのおっしゃるとおりだと思います。
Commented by ダンダラ at 2011-12-19 10:39 x
clossianaさん、貴殿も同様なことを観察されていましたか。
他のブログでもムラツはしおれた花に来て、なかなか写真にならないと言うことを嘆いている方もいましたから皆さん同じようなことを感じておられるんでしょうね。
ムラツの翅表の色は、おっしゃるような場合というのは光線の反射が強くないと言うことだと思いますので、その通りだと思います。
この写真でも上の場合は後翅の縁の黒い部分も良く出ていませんし。
Commented by ダンダラ at 2011-12-19 10:41 x
22wn3288さん、この日観察したムラツは全部(越冬個体も含めて)5.6頭だと思います。
吸蜜に来た個体は3頭位でしょうか。
ブルーの出方は両方だと思います。
個体によってかなり違いがありますので、まずブルーの強い個体を見つけて、色々角度を見ながら撮影という感じになるのかな。
Commented by ダンダラ at 2011-12-19 11:17 x
otto-Nさん、蝶は飛んでいるうちから嗅覚で蜜を確認してはいないと思います。
蝶の味覚器官は前脚と口吻にありますし、花の方も蜜のありかを示すには色(紫外線領域も含めて)を使っています・・ネクターガイドというそうです。
嗅覚で虫を引き寄せる植物もありますが、多くは花をつけない種類で肉の腐ったような匂いを発したりして虫などを引き寄せています。
嗅覚が頼りであればば花弁そのものの必要性がなくなります。
基本的に昆虫の多くは赤い色が見えません。見えるのは赤いように見えてもその中に含まれている別の波長の色による場合が多いそうです。
赤が見えるのはごく一部の種類に限られているようです。
椿の花が赤いのは、赤が見える鳥のための色ですし、嘴で傷つけられないようにガクの部分が頑丈に出来ているのは良く知られている所だと思います。
最終的な部分で味覚が関与しているのは当然だと思いますが、飛んでいるうちは視覚によるのではないでしょうか。
これは、より重要な食草の確認でもまず視覚で判断し、最終的に前脚などの感覚器官で化学成分を確認しているのと同じことだと思います。

Commented by otto-N at 2011-12-19 15:26 x
そうなんですか。無学でした。ご教示ありがとうございました。
いつもヤマトシジミを見ていて、色の形も似たような園芸種のカタバミには見向きもせず、また隣の花は止まらず、チョウの個体が違っても同じ花に来るのだろうか、ということからの発想でした。
他のチョウでも、沢山咲いている中にもかかわらず、特定の1本の花ばかりに集まることが多い気がしています。(長くなり恐縮です)
Commented by ダンダラ at 2011-12-19 16:15 x
otto-Nさん、おっしゃるようなことは確かにありますね。
ただ、人間の感覚と昆虫の感覚は必ずしも同じではないので、我々が見ているように昆虫にも見えているかというとどうも違うようです。
モンシロチョウの雌雄の区別などが紫外線領域では全く違って見えることなどは有名な例ですよね。
同じに見えても、花の鮮度、光線のあたり具合、周囲の状況によっても違って見えているのかも知れないし。
日が当たっている時には吸蜜に来ても、日陰になるとその花は見向きもされなくなったり・・嗅覚では説明できませんよね。
ただ、先ほど書き忘れましたが、確かに蝶でも樹液や排泄物などに来る例では嗅覚が大事な手段になっていると思います。
ムラツやヤマトがこれに当てはまるかどうかは疑問だと思いますが。
Commented by naoggio at 2011-12-19 22:38 x
ふーむ、そういうものなんですね。
皆さんのコメとダンダラさんのレス、とても興味深く読ませて頂きました。
傷んだ花にしか来ないというのは本当に面白い現象ですね。やはり波長の認識の問題なんでしょうかね。
写真を撮る方としては是非新鮮な花にもやって来て欲しい所ですが。
Commented by ダンダラ at 2011-12-19 23:22 x
naoggioさん、この色の認識の問題はムラツの翅表の色合いとも関連して面白いと思います。
ムラツの雌の翅表もかなり赤紫っぽい色が混じっていて、雄が雌を認識するのはこのあたりの色が関係していて、それで同じような色合いを持つ花も認識しているのかななんて空想をしています。
今回は雌がいなかったので雌がどんな花に来るのか確認できませんでしたが、過去に撮影した写真では比較的きれいな花に来ているようです。
条件が同じでないのでわかりませんが、同じ日に雌雄が来ている時の花の色の比較を是非してみたいものです。
Commented by banyan10 at 2011-12-21 18:07
サザンカもピークは過ぎそうな状況ですかね。
ムラサキシジミのサザンカでの吸蜜はうまく撮れていないのですが、行けるのは年末になりそうです。
ギフチョウなども新鮮でない花に止まるケースが多い気はしますね。そうはいっても、カタクリは花を取ってしまうのは出来ませんね。
Commented by ダンダラ at 2011-12-21 18:48 x
banyanさん、サザンカはまだ大丈夫そうですが、ムラサキシジミは気温が低いと天気が良くてもまったく出てきません。
19日の月曜日は勤めが休みで晴天だったので調べに行ってみましたが、気温が低く何も出てきませんでした。
昨年木が切られてからあまり良い状況ではなくて、サザンカでの吸蜜は12月4日に確認しただけです。
明日から休みにはいるので様子を見に行こうと思っていますが、年内は気温が低そうですね。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2011-12-22 00:12
ムラツ雄は個体や角度や光線によって、綺麗なブルーが出るか出ないかが決まると聞いていますが、掲載していただいた個体は、3条件ともクリアしたほぼ最高の色が出ていると思いますよ。こんな写真が撮れると嬉しくなってしまうでしょ。「見たい」「撮りたい」「伝えたい」3拍子揃っていますよ。(笑)
Commented by ダンダラ at 2011-12-22 17:26 x
ノゾピーさん、お褒めいただきありがとうございます。
ムラツの翅表の表現は、止まる位置が思い通りにならないので皆さん苦労されていますね。
ここはサザンカの木がそれほど大きくなく、比較的低い位置に止まることが多いのでこんなチャンスもあります。
「見たい」「撮りたい」「伝えたい」・・・ノゾピーさんのブログの拙コメントへのお返事で良くわかりました。


<< 師走を迎えたクロマダラソテツシ...      企画展・写真展 『チョウが消え... >>